脳の活動阻害で道徳的判断に異常、米研究
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【3月30日 AFP】人の道徳的判断は、脳の一部を阻害することで、変更される可能性があるとする論文が、29日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表された。
米マサチューセッツ工科大(Massachusetts Institute of Technology、MIT)の研究チームは、右耳の背後上部にあり、通常はある行動が招く結果を考えるときに活発に働く右側側頭頭頂連結部(TPJ)と呼ばれる脳領域に着目。被験者の脳内に電流を誘導した状態で、道徳問題に関するいくつかの物語を読んでもらった。
そのうちの1つの物語では、化学工場の見学ツアーに参加するグレースという名の女性とその友人が登場する。友人は、コーヒーメーカーの前で立ち止まったグレースに対し、「コーヒーに砂糖を入れて持ってきて」と頼む。ところで、砂糖は「有毒」と書かれた容器に入っている。グレースは中に入っている白い粉が有毒であると思いつつ、これをコーヒーに入れてグレースに差し出す。しかし白い粉は実際は砂糖であるため、これを飲んでもグレースには異状が起こらない。
被験者らは、こうした登場人物たちの行動について、7段階の道徳的評価をしてもらった。最低は1の「絶対にやってはいけない」、最高は7の「絶対に容認できる」だ。
この時、2つの実験を行った。1つ目は、TPJに25分間磁気パルスを流したあとで評価を下してもらい、2つ目は非常に短期間の磁気妨害を行う最中に評価を下してもらった。
■TPJの活動阻害で道徳的判断のメカニズムに異常
いずれの実験でも、TPJの通常の神経活動を阻害するだけで、道徳的判断のメカニズムの一部が停止することがわかった。
また、TPJを阻害したグループと阻害しなかったグループとを比較すると、前者の方で、他人に危害を及ぼす可能性のある行動に対し「道徳的に容認できる」と判断した確率が高かった。
論文は、「TPJの活動が阻害された場合、被験者は、行動が害を及ぼす可能性があり、容認できないと認識していたグレースのケースのような場合にも、『害も、問題もない』と判断してしまうようなメンタリティーに傾いてしまう」と指摘している。(c)AFP
米マサチューセッツ工科大(Massachusetts Institute of Technology、MIT)の研究チームは、右耳の背後上部にあり、通常はある行動が招く結果を考えるときに活発に働く右側側頭頭頂連結部(TPJ)と呼ばれる脳領域に着目。被験者の脳内に電流を誘導した状態で、道徳問題に関するいくつかの物語を読んでもらった。
そのうちの1つの物語では、化学工場の見学ツアーに参加するグレースという名の女性とその友人が登場する。友人は、コーヒーメーカーの前で立ち止まったグレースに対し、「コーヒーに砂糖を入れて持ってきて」と頼む。ところで、砂糖は「有毒」と書かれた容器に入っている。グレースは中に入っている白い粉が有毒であると思いつつ、これをコーヒーに入れてグレースに差し出す。しかし白い粉は実際は砂糖であるため、これを飲んでもグレースには異状が起こらない。
被験者らは、こうした登場人物たちの行動について、7段階の道徳的評価をしてもらった。最低は1の「絶対にやってはいけない」、最高は7の「絶対に容認できる」だ。
この時、2つの実験を行った。1つ目は、TPJに25分間磁気パルスを流したあとで評価を下してもらい、2つ目は非常に短期間の磁気妨害を行う最中に評価を下してもらった。
■TPJの活動阻害で道徳的判断のメカニズムに異常
いずれの実験でも、TPJの通常の神経活動を阻害するだけで、道徳的判断のメカニズムの一部が停止することがわかった。
また、TPJを阻害したグループと阻害しなかったグループとを比較すると、前者の方で、他人に危害を及ぼす可能性のある行動に対し「道徳的に容認できる」と判断した確率が高かった。
論文は、「TPJの活動が阻害された場合、被験者は、行動が害を及ぼす可能性があり、容認できないと認識していたグレースのケースのような場合にも、『害も、問題もない』と判断してしまうようなメンタリティーに傾いてしまう」と指摘している。(c)AFP