【3月25日 AFP】宇宙の一部領域における銀河の数が最大で90%ほど過少評価されている可能性があるとする論文が、24日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。紫外線の波長による天体観測が優れた指標とは言えないことが、研究で明らかになったという。

 地球から非常に遠くにある古い銀河の場合、その存在を示す紫外線はちりとガスでできた星間雲に阻まれ、地球まで到達しないことがあり、その結果、こうした銀河は宇宙地図からこぼれ落ちることになる。

 ジュネーブ大学附属ジュネーブ天文台のMatthew Hayes氏のチームは、チリにある欧州南天文台(European Southern ObservatoryESO)の巨大望遠鏡VLTVery Large Telescope)を使って実験を行った。

 4基ある8.2メートルの望遠鏡のうち2基を、研究が盛んな「GOODS-South」と呼ばれる深宇宙の領域に向け、100億年前に誕生した銀河が発した光を検出すべく、2度の観測を行った。

 1回目は、宇宙地図を作成する際の標準指標で、水素原子から放出されるエネルギーであるライマンアルファ線を観測。2回目は、HAWK-1と呼ばれる特殊カメラを用い、さまざまな波長で放出されるHアルファ線を観測した。

 その結果、2回目の観測では、ライマンアルファ線の観測では発見できなかった光源が多数見つかり、この中には宇宙初期に形成された非常に淡い未知の銀河も含まれていた。

 研究チームは、ライマンアルファ線観測では深遠の銀河群の最大90%が検出できない可能性があり、「観測された銀河の数が10個だとしたら、実際には100個ある可能性がある」としている。

 今回の発見で、星と銀河が形成された年代に関する知識が一層深まると期待される。(c)AFP