【3月9日 AFP】来日中のデンマークのラース・ロッケ・ラスムセン(Lars Loekke Rasmussen)首相は8日、都内の福祉施設を訪れ、同施設が導入しているロボットスーツ「HAL(ハル)」の使い心地を実体験した。

 HALは体の表面を流れる微量の電流をとらえて筋肉の動きを予測し、装着者が意図した方向に自動的に動く仕組み。身体障害者の歩行支援や福祉関係者の患者運搬支援などに使われる。ユーザーが着用することで、そのユーザーの体の動きを学習するという。

 上着を脱いでデモンストレーションに臨んだラスムセン首相は、HALを装着はしなかったが、袖をまくった腕に電気センサーをつけて腕を曲げ伸ばし、脇に置かれたHALを動かしてみせた。腕の動きと同様にHALが動くたび、首相は「素晴らしい」との言葉を連発。AFPに対し、「信じがたいが、ちゃんと動くのを自分の目で確かめたよ。この技術は大きな将来性を秘めている。特にリハビリ向けに良いアイデアだ」と語った。

 HALを開発したロボットベンチャー企業サイバーダイン(Cyberdyne)は5日、デンマーク国内にHAL生産設備を立ち上げた。欧州初の試験運用として、デンマーク政府に4体のHALを提供する計画だという。さらに、5月に開催される上海万博(Shanghai World Expo)にも、腕と脚を補助する全身型HALを出展する予定だ。HALを着用すると、最大70キロの荷物を片手で持ち上げられるという。(c)AFP