【2月4日 AFP】中米のコスタリカで科学者たちが食用昆虫の「栽培」に取り組んでいる。レストランでガーリック風味のバッタや、幼虫の串焼きが供される日が近づいているのかもしれない。

 昆虫学者のマヌエル・スンバド(Manuel Zumbado)氏は、アフリカで昔から昆虫が食べられていることを知って食用昆虫の研究を始めた。熱帯雨林に多様な昆虫が生息するコスタリカは研究に最適の場所だ。この国はエコツーリズムも盛んだが、おいしそうな昆虫が次の観光資源になるのだろうか?

 首都サンホセ(San Jose)に近い小都市、サントドミンゴ・デ・エレディア(Santo Domingo de Heredia)にある国立生物多様性研究所(National Biodiversity InstituteINBIO)は同国の昆虫だけでなく、キノコについても研究している。キノコはヒマラヤの王国ブータンでは重要な食品だ。

■西アフリカのベナン、ヒマラヤのブータンと共同研究

 この研究所では、コスタリカの科学者らがブータンの菌類学者、ウギェン・ヤンチェン(Ugyen Yangchen)氏、ベナンの昆虫学者、エリザベス・ザヌー(Elisabeth Zannou)氏とともに研究活動にいそしんでいる。植民地時代に多くの奴隷が西アフリカから中米に連れてこられたことから、コスタリカとベナンには歴史的なつながりがある。

「ベナンは昆虫食に関する知識が豊富で、ブータンではキノコがよく食べられている。コスタリカは生物多様性の維持の面で経験を積んでいる」と研究プログラムを調整している財団のマリアネラ・フェオリ(Marianella Feoli)氏は話す。

 数人の同僚とともに研究のためコスタリカにやって来たスンバド氏によると、ベナンではシロアリ、バッタ類、コオロギ、チョウやガの幼虫は一般的な食材だ。「高級レストランで昆虫を出す国もある。最初私たちは、頭がおかしいのではないかと思われたが、昆虫食は人類の生存のための食べ物であるだけでなく、1つの文化でもあるんです」

■観光地のレストランですでに提供

 コスタリカの森や農村地域によく見られるエスペランサス(Esperanzas)と呼ばれる大型のバッタの1種は、ニンニクで料理すると「エビよりずっとおいしい」と研究者たちは話す。コスタリカとベナンで何度も調査旅行の経験があるスンバド氏もきっと賞味したことがあるのだろう。「一度食べてみる価値はありますよ。フライにしてもいいし、焼いても、タマネギと一緒に串焼きにしてもいけます」。ベナンでは昆虫を魚と一緒に料理するのが人気だという。

 気持ちのわるい虫をむしゃむしゃ食べるという考えにしり込みする人も多いが、スンバド氏は街で評判のレストランの料理に昆虫を加えることから始めてみてはと提案する。

 コスタリカ北部にある同国随一の人気観光地グアナカステ(Guanacaste)にある、あるリゾートホテルはこの提案を受け入れ、ワインとともに昆虫を使った料理を提供している。

「料理には大きい値札をつけておくべきだと思いますね。そうすれば価値がわかるでしょ」とスンバド氏はニヤリと笑った。(c)AFP/Francisco Jara