【1月27日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は26日、火星の土砂に車輪を取られ立ち往生している火星探査車「スピリット(Spirit)」について、脱出させる試みを断念したと発表した。

 米ワシントンD.C.(Washington DC)のNASA本部で行われた会見で、火星探検プログラムを率いているダグ・マッキション(Doug McCuistion)氏は「スピリットはまだ死んではいないが、現在地で終わりを迎えることになりそうだ」と語った。

 今月3日に火星での活動開始から6年を迎えたスピリットは、予想されていた稼動期間3か月を大きく超えて活躍してきたが4月、火星南半球にあるクレーター「トロイ(Troy)」の縁にひっかかり、動けなくなってしまった。

 これまでのスピリット脱出作戦はすべて失敗してきた。さらに、スピリットの動力源であるソーラーパネルには火星の砂やちりが積もりつつあり、バッテリーのチャージが困難になっている。

 スピリットがいる場所は現在、日照時間の短い冬に入りつつあり、スピリットは電力不足で2月中旬までに活動できなくなるかもしれない、とNASAは発表していた。

 NASAは現在、残存エネルギーによって、パネルの向きを日当たりのよい方向へ変える試みを行っている。これに成功すれば、冬の間も稼働し続けることが可能になるという。

 スピリットは、立ち往生しているとはいえ探査は可能で、火星の自転時の細かな揺れの観測を既に開始している。この調査により、火星の核が液体なのか固体なのかを判別できる可能性があるという。(c)AFP

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