【1月19日 AFP】オーストリアで、29匹のブタを雪の中に生き埋めにして行われた、なだれに関する実験をめぐり、オーストリアとドイツの動物愛護団体が、実験を行った研究者などを相手取った訴訟を起こした。司法関係者が18日、明らかにした。

 チロル(Tyrol)地方のエッツ谷(Oetz Valley)で15日に行われた実験では、愛護団体による抗議活動を懸念して開始からわずか数時間で中止になった。だが、実験に使われたブタ29匹のうち10匹が死亡した。

 実験は、イタリア・ボルツァーノ(Bolzano)の緊急医療センターとオーストリアのインスブルック医科大学(Innsbruck Medical University)が共同で行ったもので、なだれの際に雪の下にできる「エアポケット」と呼ばれる空間が、被害者の生存に及ぼす効果を確かめるためのものだったという。

 研究者らは、実際になだれに遭った5人に1人がエアポケットのおかげで命が助かっており、大規模な実験によって新たな人命救助テクニックの開発につなげる意図があったと説明。「ブタには鎮静剤を打ったし、当局の許可も得た」と述べている。だが、動物愛護団体は生き埋めにするのは「ぞっとする」手法だと批判した。(c)AFP