【12月19日 AFP】「美は見る者の目の中にあり」――つまり、女性の美しさには客観的な基準があるわけではなく、各人の好みによって美の基準は異なると従来は考えられていた。

 ところが実際の女性の見た目の美しさは、両目の間隔や目と口の距離が顔全体に占める割合によって決まるという研究結果が、視覚研究の専門誌「ビジョンリサーチ(Vision Research)」に掲載された。

 研究では、顔全体の長さを額の髪の生え際からあごまでの長さ、顔の幅を耳と耳の間の水平方向の長さと定義。最も美しいと感じられる顔の長さ対する目と口の距離の比率と顔の幅に対する両目の間隔(左右の瞳の距離)の比率を調べた。

■1人の女性の写真を加工、一番美しい比率は?

 研究チームは画像処理ソフト「フォトショップ(Photoshop)」を使ってある1人の女性の顔写真を加工。色は変えずに、目と口の距離や両目の間隔を少しずつ変えた写真を多数用意した。

 写真を横一列に並べ、その中から自分が魅力的だと思うものを多数の学生に選ばせた。研究チームは計4回の実験を行い、うち2回で顔の長さに対する目-口間の距離の理想的な比率を、残る2回でこれに加えて顔の幅に対する両目の間隔の理想的な比率を調べた。

 実験の結果、目と口の距離は顔の長さの36%、両目の間隔は顔の幅の46%のときが一番美しいと感じられることが分かった。

■美しさをアップする簡単な方法

 論文によるとこの比率は多くの人にみられる平均的な数値だという。さらに美しさの印象を簡単に変える方法があることも分かった。たとえば、髪型を変えるだけで、魅力的とされた女性が魅力的でないと判断されたり、その逆の場合もありうるという。髪型を変えると顔の長さが変わったように見えるからだ。

 論文の主執筆者であるカナダのトロント大学(University of Toronto)のカン・リー(Kang Lee)教授によると、セレブ数人の顔についても調べたところ、米女優アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)の顔は縦、横の両方向ともに新黄金律が当てはまらないことが分かったという。一方、カナダ人歌手シャナイア・トゥエイン(Shania Twain)の顔は両方向ともに新黄金律が当てはまるという。

 同研究は白人女性のみを対象に行われた。この新黄金律が、男性や白人以外の人種、子どもの顔にも当てはまるかどうかを調べるには、さらなる研究が必要だという。(c)AFP