【11月14日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は13日、月面に水の氷を発見していたことを明らかにした。宇宙開発と恒久的な月面基地建設の可能性を広げる「大きな一歩」だ。

 NASAは前月、水の存在を確認するための実験として、月面探査機「エルクロス(Lunar Crater Observation and Sensing SatelliteLCROSS)」のセントール(Centaur)ロケットを月の南極付近にあるクレーター「カベウス(Cabeus)」に時速約9000キロで衝突させ、エルクロス本体に搭載された合計9個のカメラでその瞬間を撮影した。その4分後にはこの本体も月面に衝突させ、その衝撃と、「舞い上がるちり」などの影響を調べた。

 その際得られた予備的なデータから水の存在が分かったという。NASAの研究者は「水やその他の物質の濃度と分布を知るにはさらなる分析が必要だが、このクレーターに水があると言っても間違いないだろう」としている。

 エルクロス・ミッションのAnthony Colaprete氏は、エルクロスが集めたデータは豊富なので分析に時間がかかるだろうとした上で、月面上の太陽の光がまったくあたらない領域は極寒の世界で、数十億年前にわたって集まった物質が保存されていると語っている。

「月のイメージを一新する大発見だ」と言う米カリフォルニア大学(University of California)のGregory Deloy氏は、彗星が月に水をもたらした可能性を指摘している。(c)AFP/Jean-Louis Santini