【10月29日 AFP】これまで検知された物理現象としては最も遠い、地球から130億光年の距離で発生したガンマ線バーストGRB 090423の光を確認したとする論文が、29日の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表された。

 GRB 090423は今年4月、2つの研究チームによって観測された。これまであまり知られていない、宇宙誕生から間もない時期の謎解明につながると期待されている。

 ガンマ線バーストは知られている中で最も激しい爆発で、最も明るい星雲よりも1000万倍明るい。大質量星が一生を終えて爆発するときに発生すると考えられている。

 GRB 090423は、米航空宇宙局(NASA)のガンマ線バースト観測衛星「Swift」が初めてとらえた。

 この発見が科学者の間で話題となっているのは、ガンマ線バーストGRB 090423が、ビッグバンの発生により宇宙が誕生した約137億年前からわずか40万年後から始まる、いわゆる「宇宙暗黒時代」に発生しているからだ。

 この時代は、自由電子と陽子が組み合わさって、正電荷と負電荷を同数持つ中性原子を形成していたため、結果として「不透明」「暗黒」な宇宙となった。

 ビッグバンから8億~9億年たって、原子や分子が「再イオン化」したり電荷を帯びるようになり、われわれが現在見ているような比較的「透明」な宇宙となった。

 GRB 090423はこの「宇宙暗黒時代」の終わりごろに発生し、そのとき放った閃光(せんこう)は、これまで観測された中で最も古いものとなった。(c)AFP