【10月9日 AFP】中国北東部でシマリス程度の大きさの新種の哺乳(ほにゅう)類の化石を発掘したと、米カーネギー自然史博物館(Carnegie Museum of Natural History)などの調査隊が9日の米科学誌「サイエンス(Science)」に発表した。ヒトの聴覚の進化の過程を探る上で重要な手がかりを与えてくれるものだという。

 化石は、1億2300万年前の体長わずか15センチの生き物のもので、「Maotherim asiaticus」と名づけられた。発掘現場は、化石の宝庫として知られる北朝鮮との国境に近い遼寧(Liaoning)省。

 研究者らによると、科学的に特に興味深いのは、その内耳だという。

 化石は「極めて保存状態が良く」、調査隊は中耳が顎にどのように接続しているかを再現することができた。 

 今回の発見は、哺乳類の中耳を形成する3つの骨がどのように顎関節から分離し、複雑で高度な聴覚系を発達させていったかを説明する理論と関係している可能性があるという。

 爬虫類の耳は顎関節の所にあるが、「哺乳類の聴覚ははるかに繊細で、どんな脊椎動物より優れている」(研究チーム)。

 哺乳類の耳の発達は、ヒトの祖先を含む哺乳類が恐竜の闊歩する約2億5000万~6600万年前の中生代を生き延びた「テクニック」を理解する上で重要とみられている。
 
 ただ、「Maotherim asiaticus」が進化の鎖のどのあたりに位置しているのか、新しい耳の構造は本当に進化の過程で獲得したものなのかはまだわかっていない。(c)AFP