【10月8日 AFP】2009年のノーベル化学賞は7日、細胞内の小器官「リボソーム」の研究に貢献した英MRC分子生物学研究所(MRC Laboratory of Molecular Biology)のベンカトラマン・ラマクリシュナン(Venkatraman Ramakrishnan)博士、米エール大(Yale University)のトーマス・スタイツ(Thomas Steitz)教授、イスラエルのワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)のアダ・ヨナット(Ada Yonath)博士の3氏が受賞した。

 リボソームは、命の源であるタンパク質を作り出す工場として知られる。3氏は、リボソームの構造と機能を突き止め、DNAの遺伝子情報から数千種類ものタンパク質を製造する仕組みを化学的に解明した。

 その際に用いられた「エックス線結晶構造解析」と呼ばれる画期的な手法は、リボソームを原子レベルで同定するための3Dモデルの開発につながった。

 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や薬物耐性菌などの院内感染が問題になるなか、今回の研究をもとに、細菌性リボソームを抑制する新しい抗生物質が開発されている。

 ノーベル賞選考委員会は、「研究が医療現場で実際に役立てられており、多くの命を救うとともに人々の苦しみを和らげている」と評価している。(c)AFP/Pia Ohlin