【8月28日 AFP】犬の毛にはさまざまなバリエーションがあるが、これを決定しているのはわずか3種類の遺伝子の変異だとする研究結果が、27日の米科学誌サイエンス(Science)電子版に発表された。人間の病気の原因遺伝子の解明に応用されることが期待される。

 米国立ヒトゲノム研究所(National Human Genome Institute)などの研究チームは、80犬種1000匹のDNAを調べ、毛の特徴には3つの遺伝子「RSPO2」「FGF5」「KRT71」の変異が大きく関係していることを突き止めた。

 犬は約1万5000年前にオオカミを家畜化したものだが、毛の多様化のきっかけとなるイヌゲノムの変異が起こるようになったのは、数百年前に人為的な交配が盛んになってからと考えられている。

 ビーグルのように毛が短くカールしていない犬種では、3つの遺伝子がほぼ元の姿のまま、つまり「オオカミに近い」ことがわかった。

 毛がごわごわして口ひげのようなものをはやしたスコティッシュテリア、アイリッシュテリア、シュナウザーなどはRSPO2遺伝子の変異に、毛が長く光沢がありふわふわしているコッカースパニエル、ポメラニアン、チワワなどはFGF5遺伝子の変異に、毛がカールしているアイリッシュウォータースパニエルなどはKRT71遺伝子の変異に、それぞれ関係していた。

 3つすべてが変異している場合は、プードルやポーチュギーズウォータードッグのように、毛は長くカールし、頭などに飾りが付いたように見える。

 犬の毛の多様性における遺伝的な基礎を解明できれば、人間のがんや心臓病、糖尿病や肥満などの原因遺伝子も解明できると、研究者らは指摘している。(c)AFP/Jean-Louis Santini