ネット上の原理主義や過激派を監視、シンガポールの女性アナリスト
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【8月17日 AFP】シンガポールのヌル・アズリン・モハメド・ヤシン(Nur Azlin Mohamed Yasin )さん(24)は、1日数時間かけてインターネット上を探し回る。といっても、彼女は典型的な若いネットサーファーのひとりではない。
リサーチアナリストであるヤシンさんが絶えず目を光らせているのは、ネット上にある爆弾製造マニュアルや、イスラム系武装勢力の訓練の様子を納めたビデオ映像、今にも発生しそうな攻撃を示唆する原理主義者たちのチャットなどだ。
アフガニスタンで米軍が主導する連合軍との戦いに、若いイスラム教徒たちが公然と志願し、あるいは身近な材料で作る爆発物製造法を知りたいと申し出る世界へ、ヤシンさんは自分のコンピューターから入っていく。
そこは、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の指導者ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者が尊敬され、2002年にバリ島で起きた爆破テロを実行し死刑となったイスラム地下組織ジェマ・イスラミア(Jemaah Islamiyah、JI)の幹部たちが、新メンバー募集の広告塔として掲げられるような世界だ。
「こういったすべてのことが懸念材料」とヤシンさんはAFPの取材に答え、ネット上で個人が過激思想を吸収する傾向が強まっているとも指摘した。
■世界には約5500-6000の監視対象サイト
ヤシンさんは、ラジャラトナム国際関係研究所(S. Rajaratnam School of International Studies)に5人いるリサーチアナリストの1人として、研究所内の「政治的暴力とテロ研究国際センター(International Centre for Political Violence and Terrorism Research)」で、「テロとの戦い」の新たな戦場を察知するべく日々、原理主義者たちのウェブサイトを監視している。
所内のアナリストたちは偶然にもみな女性で、アラビア語、マレー語、インドネシア語や地政学の知識などを備えている。「コンピューターの前に座って、見たものについて考え、動向分析をする。すると、『うそ、大変なことが起きているわ』なんていうことがある。急進化がまさに目の前のオンライン上で進んでいるのが分かる」とヤシンさんは言う。
世界では約5500-6000のウェブサイトが過激な思想を広めているといい、ヤシンさんはJIやフィリピン南部で活動するイスラム原理主義過激派「アブサヤフ(Abu Sayyaf)」といった悪名高い組織を抱える東南アジア地域の監視と分析を担当している。
ヤシンさんによると、東南アジアのウェブサイトには192の過激派系サイトがあり、なかでもブログが普及した2008年初頭以降に急速に増えた個人ブログが多いという。
同センターのマネージャー、ジョレーヌ・ジェラルド(Jolene Jerard)さん(26)によると、監視・分析結果は毎月リサーチアナリストによってレポートにまとめられ、シンガポール政府の関係当局や、研究所に説明を受けに訪れる外交官らと共有しているという。
また、ここでダウンロードされた過激派関連のビデオ映像は、東南アジアでも最大規模のデータベースに納められる。そうしたビデオは、解像度の粗かった過去のアマチュア的な映像に比べ、現在はプロ並みの高解像度だという。
脅威に対する各国政府の対策の関心は、次第にサイバー空間に移行してきているとジェラルドさんは語る。「それが、脅威をめぐる状況を変化させている。(インターネット空間の監視は)ますます重要になっていると思うし、各国の政府は例外なくその対策と、十分なリソースをつぎ込むことに強い意欲がある」(c)AFP/Martin Abbugao
リサーチアナリストであるヤシンさんが絶えず目を光らせているのは、ネット上にある爆弾製造マニュアルや、イスラム系武装勢力の訓練の様子を納めたビデオ映像、今にも発生しそうな攻撃を示唆する原理主義者たちのチャットなどだ。
アフガニスタンで米軍が主導する連合軍との戦いに、若いイスラム教徒たちが公然と志願し、あるいは身近な材料で作る爆発物製造法を知りたいと申し出る世界へ、ヤシンさんは自分のコンピューターから入っていく。
そこは、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の指導者ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者が尊敬され、2002年にバリ島で起きた爆破テロを実行し死刑となったイスラム地下組織ジェマ・イスラミア(Jemaah Islamiyah、JI)の幹部たちが、新メンバー募集の広告塔として掲げられるような世界だ。
「こういったすべてのことが懸念材料」とヤシンさんはAFPの取材に答え、ネット上で個人が過激思想を吸収する傾向が強まっているとも指摘した。
■世界には約5500-6000の監視対象サイト
ヤシンさんは、ラジャラトナム国際関係研究所(S. Rajaratnam School of International Studies)に5人いるリサーチアナリストの1人として、研究所内の「政治的暴力とテロ研究国際センター(International Centre for Political Violence and Terrorism Research)」で、「テロとの戦い」の新たな戦場を察知するべく日々、原理主義者たちのウェブサイトを監視している。
所内のアナリストたちは偶然にもみな女性で、アラビア語、マレー語、インドネシア語や地政学の知識などを備えている。「コンピューターの前に座って、見たものについて考え、動向分析をする。すると、『うそ、大変なことが起きているわ』なんていうことがある。急進化がまさに目の前のオンライン上で進んでいるのが分かる」とヤシンさんは言う。
世界では約5500-6000のウェブサイトが過激な思想を広めているといい、ヤシンさんはJIやフィリピン南部で活動するイスラム原理主義過激派「アブサヤフ(Abu Sayyaf)」といった悪名高い組織を抱える東南アジア地域の監視と分析を担当している。
ヤシンさんによると、東南アジアのウェブサイトには192の過激派系サイトがあり、なかでもブログが普及した2008年初頭以降に急速に増えた個人ブログが多いという。
同センターのマネージャー、ジョレーヌ・ジェラルド(Jolene Jerard)さん(26)によると、監視・分析結果は毎月リサーチアナリストによってレポートにまとめられ、シンガポール政府の関係当局や、研究所に説明を受けに訪れる外交官らと共有しているという。
また、ここでダウンロードされた過激派関連のビデオ映像は、東南アジアでも最大規模のデータベースに納められる。そうしたビデオは、解像度の粗かった過去のアマチュア的な映像に比べ、現在はプロ並みの高解像度だという。
脅威に対する各国政府の対策の関心は、次第にサイバー空間に移行してきているとジェラルドさんは語る。「それが、脅威をめぐる状況を変化させている。(インターネット空間の監視は)ますます重要になっていると思うし、各国の政府は例外なくその対策と、十分なリソースをつぎ込むことに強い意欲がある」(c)AFP/Martin Abbugao