【7月31日 AFP】彗星(すいせい)が地球に衝突しても、生き物は死滅しないだろうとの論文が、30日の米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 米ワシントン大学(University of Washington)の天文学者らは、太陽系内にあると考えられている彗星雲「オールトの雲(Oort Cloud)」について、コンピューター・シミュレーションを用いて過去12億年にわたる形成過程を追った。

 オールトの雲は太陽系を取り巻いていると考えられ、この中から飛来した彗星が地球に衝突し、生物が死滅する可能性が長年指摘されてきた。

 しかし、シミュレーションの結果、過去5億年の間に大規模な彗星の衝突が2-3回起こっているものの、地球は滅亡せずに済んだとみられることがわかった。

 研究者らは、約4000万年前の始新世後期の動物大量死滅を招いたのはこれらの彗星の衝突によるものであった可能性を指摘。化石記録が始まって以来最も激しい衝突だった可能性があり、衝突自体もまれであるにもかかわらず、進化史においては「軽微な出来事」と位置づけられていることから、「彗星の衝突が原因で生物が絶滅するとは考えられない」と結論付けている。

 彗星は、土星と木星の引力に引き寄せられてどちらかの惑星に衝突するか、星間宇宙にはじき飛ばされるため、地球に衝突することはめったに起こらない。(c)AFP