【7月21日 AFP】雨粒は、最初は小さいけれども、落下するときに隣の粒と合体して大きくなっていく――学童たちはこれまで、雨粒についてこう教えられてきた。周囲の雨粒との接触の度合いで、雨粒の大きさの顕著な違いを説明できるというのだ。

 これに対し、フランスのエクス・マルセイユ大学(Aix-Marseille University)の研究者らは、超高速ハイスピードカメラを使って落下する雨粒を分析し、その結果をこのほど英科学誌「ネーチャー・フィジックス(Nature Physics)」(電子版)に発表した。それによると、雨粒はこれまで考えられていた以上に単純で、落下する際には「定説」とは異なることが起こっており、これが雨粒のサイズの違いを生み出しているという。

 雨粒は、最初は球の形をしているが、次第に平らになってパンケーキのような形になる。このパンケーキ状の雨粒は薄く延ばされてゆくが、空気の圧力で中がくり抜かれ、ひっくり返されたバッグのようになる。その後、水の表面張力の限界を超えて膨らみ、やがて破裂。このときたくさんの小さな粒が発生する。なお、このプロセスにかかる時間は数千分の1秒だ。

 だが雨粒は、地上に到達したとき、その大半は非常に小さい粒で、大きめの粒は比較的少ない。研究論文の共同執筆者Emmanuel Villermaux氏は、「雨粒は落下し始めるときに雲の中で周囲の雨粒と合体するが、それ以降は、周囲の雨粒とは関係なく個々で破裂する。雨粒のサイズが異なることもこれで説明がつく」と話している。

 こうした発見は、降雨パターンの研究や農薬散布などに役立てることができるという。(c)AFP