【7月20日 AFP】炎と戦う消防士は最も危険な仕事のひとつだ。しかし、このほどスウェーデン南西部の小都市で開発された革命的な装置のおかげで、消火活動がずっと安全になりそうだ。

 この装置は、イエーテボリ(Gothenburg)郊外ブロース(Boraas)の地元企業が開発した「コブラ(Cobra)」。従来のホースにただ取り付けるだけで、消火活動に大きな変化をもたらしてくれる。

 銃のような形状で、肩から掛けて使用するコブラの重さは10-15キロ。毎分300バールの水圧で約60リットルの水を噴射する。

 また、水とイオン性酸化物の混合液を同様の力で噴射し、鉄製のドアや石の壁を切除することも可能だという。ブロースの消防署長によると、厚さ5センチのコンクリートならば5-6秒で貫通させることができるという。

 例えば、炎で摂氏600度にも達した有毒ガスが充満する建物に、消防士が突入することができるだろうか。そんな時に壁もしくはドアに小さな穴を開け、コブラを差し込めば、火勢を強める酸素の流入を最低限に抑えたうえで、建物の外から消火できる。

 コブラの名前の由来は、開発者のラーシュ・ラーション(Lars Larsson)氏が9年前、ドイツで開催された国際消防フェアでこの装置の試作品を発表した際、米国人ジャーナリストが毒ヘビのコブラにたとえて名づけられたという。

 ブロースの消防署には、コブラの評判を聞きつけ、これまでに約7000人の消防関係者が世界中から視察と使用法の訓練に訪れた。アテネ五輪北京五輪の緊急対応チームも訪れたという。(c)AFP/James Franey