【7月20日 AFP】22日の皆既日食は、世界各地で暴力や混乱が起きる予兆だと、インドの占星術師らが警告している。

 ヒンズー教の神話では、日食はラーフ(Rahu)とケトゥ(Ketu)という魔物が太陽をのみ込むことによって起きる現象と考えられている。生命の源となる光が奪われることで、食物や飲料水も生き物が口にしてはならないものに変わるとされる。

 妊娠中の女性は胎児への悪影響を避けるため、日食中は屋外に出ない方がよいとされる。ニューデリー(New Delhi)市内のある婦人科医によると、皆既日食がみられる22日に帝王切開手術を予定していた妊婦から、手術日の変更依頼が相次いでいるという。

 日食中の正しい過ごし方としては、断食や聖なる川での沐浴が奨励されている。

■暴動、自然災害、戦争も起こる?

 占星術師らは、皆既日食が観測できるインド、中国、東南アジア諸国で、日食後の数日間、地域的な暴動が発生する確率が高いと警告している。

 ムンバイ(Mumbai)のある占星術師は、インドでカシミール地方の分離独立を求めるイスラム教原理主義武装組織「ジェイシェモハメド(Jaish-e-Mohammad)」か、国際テロ組織アルカイダ( Al-Qaeda)による攻撃があり、指導的な立場にある政治家が暗殺される恐れがあると話した。

 さらに、この占星術師によると、東南アジアは自然災害に見舞われ、欧米とイラン間では緊張が高まり、土星が獅子座から乙女座に入る9月9日以降に米国が軍事行動に出る可能性があるという。

 日食にまつわる迷信が存在するのは、インドだけではない。中国でも古代から、日食は皇帝の死など不吉な出来事の予兆とされてきた。今でも、こうした迷信を信じる人びとも少なくない。

 中国の人気ネット検索サイト百度(Baidu)では、「皆既日食から数年以内に騒乱や戦争が起こる確立は95%」との記事がヒット数を延ばしている。

 一方、天文学者や科学者、世俗主義者らは、偉大な自然現象である皆既日食への一般理解を高めようと、努力している。

 英旅行会社Cox and Kingsは、ボーイング(Boeing)737-700型機をチャーターし、インド上空の高度4万1000メートルから皆既日食を観察するツアーを企画。同ツアーには天文学者が同乗し、乗客らに日食の説明を行うという。(c)AFP/Phil Hazlewood