ES細胞からヒトの精子を作製、英研究グループ
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【7月8日 AFP】英国の科学者らが、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)からヒトの精子を作製することに成功したと、8日発行の医学誌「Stem Cells and Development」に発表した。
英ニューカッスル大学(Newcastle University)と北東イングランド幹細胞研究所(NorthEast England Stem Cell Institute、NESCI)の研究チームは、XY染色体(男性)を持つ幹細胞を用いるという新しい手法で、ヒトの精子を作製した。
ただし研究チームは、こうした人工精子を現時点で不妊治療に使用することは、英国の法律が禁止していることもあり、あり得ないと強調する。
研究を主導したKarim Nayernia教授は、研究の目的について、「精子の生成過程を詳しく研究し、男性の不妊症の原因などに関する理解を深めることにある」と説明した。こうした理解は、不妊に悩むカップルが遺伝学的な「わが子」をもうけるための新しい方法を見出すことに役立つという。
教授は、人工精子を例えばがんの化学療法を受けて不妊になった少年の治療に活用することが考えられるが、そうした治療法の開発には少なくとも10年を要すると見ている。さらに教授は、そうした手法を認可する法律が「早急に」策定されるべきと指摘している。
一方、今回の研究に対しては、疑問の声も上がっている。
英シェフィールド大学(University of Sheffield)のアレン・ペーシー(Allen Pacey)博士は「20年の経験を持つ精子生物学者として、研究チームの作製した細胞が本当に『精子』と呼べるのか確信が持てない。作られた細胞は精子が持ついくつかの遺伝的特徴や分子マーカーを有するかもしれないが、完全な人間の精子は研究では説明されていない特徴的な細胞形態、性質、機能を持っている」と指摘している。(c)AFP
英ニューカッスル大学(Newcastle University)と北東イングランド幹細胞研究所(NorthEast England Stem Cell Institute、NESCI)の研究チームは、XY染色体(男性)を持つ幹細胞を用いるという新しい手法で、ヒトの精子を作製した。
ただし研究チームは、こうした人工精子を現時点で不妊治療に使用することは、英国の法律が禁止していることもあり、あり得ないと強調する。
研究を主導したKarim Nayernia教授は、研究の目的について、「精子の生成過程を詳しく研究し、男性の不妊症の原因などに関する理解を深めることにある」と説明した。こうした理解は、不妊に悩むカップルが遺伝学的な「わが子」をもうけるための新しい方法を見出すことに役立つという。
教授は、人工精子を例えばがんの化学療法を受けて不妊になった少年の治療に活用することが考えられるが、そうした治療法の開発には少なくとも10年を要すると見ている。さらに教授は、そうした手法を認可する法律が「早急に」策定されるべきと指摘している。
一方、今回の研究に対しては、疑問の声も上がっている。
英シェフィールド大学(University of Sheffield)のアレン・ペーシー(Allen Pacey)博士は「20年の経験を持つ精子生物学者として、研究チームの作製した細胞が本当に『精子』と呼べるのか確信が持てない。作られた細胞は精子が持ついくつかの遺伝的特徴や分子マーカーを有するかもしれないが、完全な人間の精子は研究では説明されていない特徴的な細胞形態、性質、機能を持っている」と指摘している。(c)AFP