【6月3日 AFP】(一部修正)スウェーデン南東部オスカルスハムン(Oskarshamn)にあるAespoe硬質岩研究所(Aespoe Hard Rock Laboratory)は、迷路のように入り組んだ地下500メートル、全長4キロのトンネルを使って、世界初となる使用済み核燃料の地下埋蔵処理の実現化に取り組んでいる。

 スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB)は今月中に、国内10か所の原子力発電所の中から出た高レベル放射性廃棄物の地下埋蔵処理場の建設場所を選定することになっている。SKBによると、建設は2016年に開始され、最初の密封貯蔵用キャニスターは2022年か2024年に収納される予定だという。 
 
 現在、原子力は、世界で生産される電力の14%を占めている。高レベル放射性廃棄物については、一時貯蔵施設はあるものの、永久貯蔵が可能な施設はまだ実現されていない。一時貯蔵施設では、貯蔵期間の数十年後も放射能のおよそ1%が残存してしまうが、10万年貯蔵できると、放射能レベルはウラン鉱石程度にまで下がるという。

 昨今では、地球温暖化への懸念から化石燃料への抵抗が高まっており、多くの国が脱原発政策の転換を迫られている。したがって最終貯蔵施設のニーズも高まっていると、専門家らは口をそろえる。

 電力生産の45%を原子力に依存しているスウェーデンでも、政府は今年2月、10か所ある原発の段階的廃止の方針を撤回。その代わり、高レベル放射性廃棄物の地下貯蔵施設を建設することを決めた。現在、オスカルスハムンとOesthammarの2都市が誘致に名乗りを上げている。

■地下埋蔵処理の手順

 スウェーデン方式は、銅で覆われた重さ25トンの密封貯蔵用キャニスターに、2トンの使用済み核燃料を貯蔵する。

 各キャニスターを特殊な技術により溶接密閉し、機械を使って、地下埋蔵施設のトンネル内に埋める。このとき、キャニスター内の放射性物質から発生する熱が岩盤に吸収されるよう、各キャニスターを数メートル間隔で埋めることが重要だという。

 次に、ベントナイト粘土をトンネルに流し込み、トンネルにすき間ができないようにする。ベントナイト粘土は火山灰でできており、水を混ぜると膨張して防水性の遮蔽効果を与えると同時にキャニスターを地震の揺れから守る役割を果たす。

 最後に、ベントナイトと岩の混合物でトンネルをふさいで完了だという。(c)AFP/Pia Ohlin