【6月3日 AFP】地上でひどい頭痛を経験したことがない宇宙飛行士が、宇宙で激しい頭痛に見舞われることがあるとする研究結果が、2日発行の医学専門誌『Cephalalgia(頭痛)』6月号に発表された。研究チームは、頭痛の一種として「宇宙頭痛」を新たに加えるべきだとしている。

 オランダのライデン大学医学センター(Leiden University Medical Centre)の研究チームは、28歳から58歳までの宇宙飛行士17人(女性1人、男性16人)に対し、ミッション中に頭痛を経験したことがあるか質問した。17人はいずれも国際宇宙ステーション(International Space StationISS)への滞在経験があり、うち9人は短期滞在者で滞在日数の平均は11日、8人は長期滞在者で滞在日数の平均は約202日だった。

 その結果12人が「頭痛を経験した」と回答し、その回数は合計21回にのぼった。内訳は打ち上げ中が9回、ISS滞在中が9回、船外活動中が1回、帰還時が2回だった。症状は3分の2が中程度、その他の大部分は軽かったが、6%はひどい頭痛だった。ほぼ1日中寝袋で寝ていなければならないほどひどい頭痛だったと回答した飛行士も1人いた。宇宙飛行士らは、頭痛について、「爆発するよう」「重い感じ」と表現した。

■血流の変化が原因か

 いずれも飛行前の健康状態は良好で、慢性的な頭痛の既往歴がある人はいなかった。

 さらに吐き気やめまいを伴うケースはなかったことから乗り物酔いによるものではないと考えられる。打ち上げ中に起きた2回の頭痛のみが、かろうじて国際的な診断基準で「片頭痛」に当てはまるという。

 過去の研究で無重力状態では上半身の血液の分布が地上とは変わることが明らかになっており、無重力状態で上半身の血液が脳に流れ込むと、頭蓋骨内部の圧力が高まって痛みを生じる可能性があるという。無重力状態は体内の酸素を不十分な状態にし、これも頭痛のひきがねになっている可能性があるという。

 宇宙飛行士は、健康上の理由で任務から外されるのを嫌い宇宙で経験した体調不良をあまり話したがらないため、今回の研究では匿名にすることが保証された。(c)AFP