【5月11日 AFP】ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)は来週、米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル「アトランティス(Atlantis)」による5回目にして最後の修理を受けることになっている。ハッブル宇宙望遠鏡は、宇宙に関する人類の理解と想像力に革命を起こした驚異の装置だといえる。

 NASAと欧州宇宙機関(ESA)が共同運用するハッブル宇宙望遠鏡は、1990年4月25日にスペースシャトル「ディスカバリー(Discovery)」によって高度600キロの軌道に投入されて以来、75万枚を超える画像と大量のデータを地球に送信し、天文学の分野で新たな時代を開いた。

 だが運用開始時にレンズに不具合が見つかり、スペースシャトルによる修理ミッションを経て正常な運用が可能になったのは、打ち上げから3年後だった。それ以来ハッブルは超新星や星の死の際に起こる巨大爆発などの驚異的な画像を地球に送信してきたほか、ほぼすべての銀河の中心にあるブラックホールの存在も明らかにした。

 地球上で最も解像度の高い望遠鏡の10倍の解像度をもつハッブルの観測によって、宇宙は加速的に拡大していることが確認されたほか、宇宙の年齢についても、これまでよりも高い精度で137億年だと推定することができた。

 NASAによると、ハッブル宇宙望遠鏡にはアトランティスの宇宙飛行士によって2つの新しい装置が取り付けられる。これにより、ビッグバンによる宇宙誕生から5-6億年後の宇宙の状態が観測ができるという。

 NASA研究部門のエド・ウェイラー(Ed Weiller)氏は、「取り付けに成功すれば、ハッブルの性能はこれまで以上に強化され、少なくとも今後5年間にわたって世界の科学をけん引していくだろう。また(ハッブルの後継となる)ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space TelescopeJWST)との同時運用も可能になる」と語った。

 ウェイラー氏はハッブル宇宙望遠鏡の成果について、「平均的な米国人が科学プロジェクトや科学装置を1つだけ挙げるとすると、それはハッブルだと断言できる。また、ハッブルは多くの国の天文学の教科書で取り上げられている」と強調した。(c)AFP/Jean-Louis Santini