【5月6日 AFP】米フィラデルフィア(Philadelphia)の博物館が所有する第16代米大統領エーブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)の血液のサンプルが、晩年のリンカーンを悩ませていたとされる病気を特定する目的で、科学的な分析にかけられることになった。

 リンカーンは1865年、56歳のとき、ワシントンD.C.(Washington D.C.)のフォード劇場(Fords Theater)で観劇中に暗殺者により拳銃で後頭部を撃たれた後、劇場の向かいにある宿屋、ピーターセンハウス(Peterson House)に運ばれ、昏睡状態のまま死亡した。フィラデルフィアの博物館「Grand Army of the Republic Museum」が所有するサンプルは、このときにリンカーンの血が染みついた枕の一片だという。

 テンプル大学(Temple University)の教授(歴史学)でもあるアンディー・ワスキー(Andy Waskie)副館長によると、同館は専門家や科学者らの助言に従い、リンカーンがかかっていた病気をさぐるため科学的な分析を行うことを決めた。DNA鑑定が行われる可能性もあるという。

■さまざまな「病気説」

 リンカーンは死亡当時、がんを患っていたとする学説がある。

 リンカーンの健康状態に関するいくつかの著作があり、今回の分析にも携わるとみられるジョン・ソトス(John Sotos)氏は、リンカーンはマルファン症候群(Marfan syndrome)を患っていたと考えている。マルファン症候群は、体の結合組織に影響する遺伝子疾患で、異常に長い手足、白内障または緑内障の早期発症、心臓病、早死になどの特徴がある。

 さらには、本人もしばしば「憂鬱(ゆううつ)だ」ともらしていたことから慢性的なうつ病だった可能性も高い。

 博物館側は、今年の2月12日に生誕200周年を迎えたリンカーンに関する記念行事の一環として、今年中にも分析結果を発表したいとしている。(c)AFP