【4月12日 AFP】米航空宇宙局(NASA)のユーモアのセンスが問われるときが来た。

 米人気コメディアンのスティーヴン・コルバート(Stephen Colbert)さんが、NASAが実施した国際宇宙ステーション(International Space StationISS)の新モジュールの名称を決定するインターネット投票を「ハイジャック」したことを受けて、NASAは深刻なジレンマに陥っている。

 コルバートさんが提案した名称は、自分の名字「コルバート」だった。

 米コメディ専門チャンネルComedy Centralの「コルバート・レポート(The Colbert Report)」で、コルバートさんがファンに繰り返し投票を呼びかけたことが、勝利に一役買ったことは間違いない。

 nasa.govで行われた「ノード3の名前をつけよう(Help Name Node 3)」投票で、コルバートさんは、「コルバート・ネーション(Colbert Nation)」と呼ばれるファンらの支援によって、NASAが提案した「アースライズ」や「レガシー」、「セレニティ」、「ベンチャー」などを圧倒し、自らの名前「コルバート」を優勝に導いた。

 これを受けてNASAは10日、14日の「コルバート・レポート」で米宇宙飛行士サニータ・ウィリアムズ(Sunita Williams)さんが名称を発表すると述べた。

 NASAは、同番組の放送まで名称を発表するつもりはないと述べ、また、人気投票の結果に従う義務はないとした。

 投票のルールでは、NASAは投票結果を考慮に入れるとされているが、それらは「拘束力がない」ものであり、「最終的には、NASAにとって最善の名前を選択する権利を留保する」と記載されている。

 NASAのビル・ゲルステンマイアー(Bill Gerstenmaier)副長官は、結果がどのようなものになるにせよ、投票は宇宙ステーションへの関心を高めることに役立ったと述べる。「100万票以上の投票があった。ソーシャル・メディア・ウェブサイトや『コルバート・レポート』などのテレビ番組が関心を持ったことが大きな要因だった」

 一方、エミー賞(Emmy Awards)受賞コメディアンのコルバートさんは、自分の役回りをよくわかっているようだ。

 コルバートさんは声明で、「NASAが正しい行いをすることを心から期待する」と述べ、「というのは冗談で、わたしの名前をつけるといいなと思っています」とコメントした。(c)AFP