【2月14日 AFP】英国の自然科学者チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)の生誕200周年にあたる12日、世界各地での祝賀ムードとは裏腹に、米国の科学者たちは、懐疑的な世論や反対キャンペーンに対し、あらためて進化論の正当性を訴えざるを得なかった。

 シカゴ(Chicago)に集まった全米屈指の科学者らは、ヒトとネアンデルタール人との遺伝的類似性から、惑星の形成方法やカラスが道具を使って昆虫を捕る方法まで、ありとあらゆる場面で進化というものを観察することができることを示した文書を発表した。

 だが、こうしたメッセージも、一般の米国人にはなかなか浸透していない。

 米世論調査企業ギャラップ(Gallup)が11日に発表した調査結果によると、進化論を信じていると答えた米国人は、わずか40%だったという。過去10年間に行われた調査においても、44-47%の人が、神が過去1万年ほどの間に、人間を現在のような形で創造したと信じていると答えている。

 米国では、学校で進化論についてはあまり教えられてはいないほか、多くの宗教団体がキリスト教の聖書の字義通りの解釈を主張している。

 広範な反進化論運動が数十年にわたって続けられてきたが、公立学校で進化論を教えたことで罪に問われた生物教師のジョン・スコープス(John Scopes)をめぐる、1925年にテネシー(Tennessee)州デイトン(Dayton)で行われた有名な裁判以来、進化論をめぐる問題は法廷の場で争われるようになった。

 1968年になり、米最高裁はようやく、進化論を教えることを犯罪だとしていたアーカンソー(Arkansas)州法を無効とする判決を下し、政教分離の政府の下で進化論を教えることを禁止するのは違憲だとする判断を示した。

 その後、米最高裁は1987年、聖書の天地創造説を学校で教えることを強制するのは、公教育システムの中で宗教を奨励することにつながるとして、違憲であるとの判断を示した。(c)AFP/Mira Oberman