生物を昔の環境に戻したらDNAは「逆進化」するか?
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【2月11日 AFP】(一部訂正)ある生物をタイムマシンに乗せて過去に送り届けたら、その生物のDNAは逆方向に進化し、その遺伝情報は先祖返りをするだろうか?その答えが、科学誌「ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)」(1月11号)に掲載された。
この興味深い問題を探るべく、ポルトガルと米国の科学者らは、キイロショウジョウバエ(学名:Drosophila melanogaster)と、昔の環境を再現した研究室を使って、実験を行った。
実験に使ったハエは、1975年に採集された1つのグループの子孫だ。原生種はその後の数十年間で、さまざまな環境において500回もの世代交代を重ねてきた。
これまで、さまざまな昆虫を、餌がない、湿度が極めて高いなどの過酷な環境に置く実験が行われているが、こうした経験を経た昆虫は周りの条件に適応するために特定の性質を発達させることがわかっている。
エンリケ・テオトニオ(Henrique Teotonio)氏らの研究チームは、多数のミバエを古代の環境で飼育し50回の世代交代ののちに第3染色体のDNAに「逆進化」の痕跡がないかを調査した。
その答えは「イエス」だった。ただし「ある程度までは」のただし書きがつく。
研究者らによると、ハエがいったん別の環境に順応すると進化の時計の針はそれ以上回らなくなる。「ハエが(研究室で再現された)古代の環境に十分に適応した時点で、逆進化は停止するようだ。この時のハエの遺伝子情報は古代のハエのそれとは一致していないと考えられる」と、テオトニオ氏は説明する。
「歴史的にみて、進化は遺伝子レベルにおいても偶発的なものだ」と語るテオトニオ氏によれば、この研究は進化は一般に考えられている以上に複雑かつ非直線的であることも示唆しているという。(c)AFP
この興味深い問題を探るべく、ポルトガルと米国の科学者らは、キイロショウジョウバエ(学名:Drosophila melanogaster)と、昔の環境を再現した研究室を使って、実験を行った。
実験に使ったハエは、1975年に採集された1つのグループの子孫だ。原生種はその後の数十年間で、さまざまな環境において500回もの世代交代を重ねてきた。
これまで、さまざまな昆虫を、餌がない、湿度が極めて高いなどの過酷な環境に置く実験が行われているが、こうした経験を経た昆虫は周りの条件に適応するために特定の性質を発達させることがわかっている。
エンリケ・テオトニオ(Henrique Teotonio)氏らの研究チームは、多数のミバエを古代の環境で飼育し50回の世代交代ののちに第3染色体のDNAに「逆進化」の痕跡がないかを調査した。
その答えは「イエス」だった。ただし「ある程度までは」のただし書きがつく。
研究者らによると、ハエがいったん別の環境に順応すると進化の時計の針はそれ以上回らなくなる。「ハエが(研究室で再現された)古代の環境に十分に適応した時点で、逆進化は停止するようだ。この時のハエの遺伝子情報は古代のハエのそれとは一致していないと考えられる」と、テオトニオ氏は説明する。
「歴史的にみて、進化は遺伝子レベルにおいても偶発的なものだ」と語るテオトニオ氏によれば、この研究は進化は一般に考えられている以上に複雑かつ非直線的であることも示唆しているという。(c)AFP