【12月16日 AFP】ドイツの天文学チームが、銀河系の中心に巨大なブラックホールを発見した。

 ドイツ・ミュンヘン(Munich)近郊にあるマックスプランク宇宙空間物理学研究所(Max Planck Institute for Extraterrestrial Physics)のチームによるこの驚くべき観測結果は、宇宙で最も謎に包まれた超大質量ブラックホールが実際に存在することを、これまでで最も明確に示している。

 チームは16年以上にわたり、銀河系内の28の星の軌道を追跡観測することによって、これまでで最も詳細にブラックホールを把握することに成功した。

 ブラックホールは、重力が集中している非常に強力な場で、取り込まれてしまうと光でさえも逃れることができないと考えられている。そのため観測するには近隣の天体に及ぼす影響を観察する以外に方法はなく、その1つが「いて座Aスター(Sagittarius A*)」と呼ばれる星だ。

 同研究所のラインハルト・ゲンゼル(Reinhard Genzel)氏は、「いて座Aスターなどの軌道は、太陽の銀河系の中心部にある400万倍もの質量が集中する部分がブラックホールにちがいないことを示している。それを疑う妥当な理由は見あたらない」と声明で述べている。

 チームはまた、銀河系中心部から地球までの距離を、2万7000光年と、これまでよりはるかに正確に算出することにも成功した。

 いて座Aスターは地球に比較的近いため、超大質量ブラックホールに関して知りうる最も詳細な情報をもたらしてくれるという。

 この研究結果は今月発行される米天文学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル(Astrophysical Journal)」で発表される。(c)AFP