【11月2日 AFP】2004年12月のスマトラ島沖地震に伴って発生し、約22万人が犠牲になった巨大津波の約600年前にも、インド洋で同規模の津波が発生していたことを示す証拠を国際研究チームが発見した。

 30日の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に掲載された研究結果によると、2つの調査チームがインドネシアとタイの沿岸部の湿地で掘削調査を行い、過去の津波による津波堆積物がないかどうか調べた。

 その結果、砂の層が発見され、その堆積層のすぐ下から採取した有機物の放射性炭素年代を測定したところ、インドネシア・スマトラ島(Sumatra)北端の堆積物は1290-1400年頃、タイ・プラトン(Phra Thong)島の堆積物は1300-1450年のものであることが分かった。年代が近いことから、2つの堆積物は1つの巨大な津波によって残された可能性がある。

 ノルウェーの地質学者Stein Bondevik氏は、今回の発見は、2004年の地震の震源となったスンダ海溝に同規模の地震を引き起こすエネルギーが蓄積されるには約600年かかることを示唆していると指摘し、「この地域に暮らす人は、数世代に1度しか発生しない巨大津波のリスクよりも、海の近くに住むことで受ける利益に眼を向けるべきかもしれない。とはいえ、規模の小さい津波はより頻繁に発生する可能性があるので、早期警戒システムの構築は重要だ」と述べた。(c)AFP

日本から調査に参加した産業技術総合研究所(産総研)の関連ページ