【10月30日 AFP】米航空宇宙局(NASA)の水星探査機「メッセンジャー(Messenger)」が6日に成功させた、2回目の水星上空通過(フライバイ)の際にとらえた画像やデータによって、水星の解明が進んだという。研究者らが29日、発表した。

 メッセンジャーは6日、水星の赤道上空201キロの地点を時速2万3818キロで通過し、2回目のフライバイに成功。搭載された撮像装置はフライバイの間正常に作動し、カメラでは水星表面の画像1200枚以上を撮影、またレーザー高度計で地形を調査した。今回のフライバイでとらえられた水星表面の一帯は、南米大陸よりも広い範囲に及び、撮影されたのは初めて。

 今回と1回目のフライバイおよび水星探査機「マリナー10号(Mariner 10)」(1974年と75年に計3回フライバイ)をあわせ、水星表面の約95%の撮影データが入手され、これまで不明だった部分がつながったことで水星の地図作製が前進したという。

 研究者らによると、これまでの推測とは異なり、水星の地表は月や火星の地表とは類似していなかった。水星の表面は全体的に同年代の古代の地形で、クレーターが極端に多い。そこに多くのいん石が衝突してできた盆地があり、その盆地内や盆地同士の間に、比較的若い火山平原が広がっているという。

■謎の多い水星、研究者はメッセンジャーに期待

 水星は太陽系の中で太陽に一番近接しており、太陽の強大な重力や高レベルの放射線などのリスクが高い。そのため、地球に比較的近いにもかかわらず、最も謎の多い天体の1つだ。

 研究者らは、メッセンジャーが水星の大気を支配している物理的過程について解明し、また水星の活発な磁場を取り巻く荷電粒子についても、さらにデータを得ることを期待している。

 今年1月の最初のフライバイの際には、火山の噴火によって多数の広大な平原が出現し、クレーターが点在する様子が示され、また鉄が溶解している核部分で、磁場が活発に出現しているらしいことが観察された。(c)AFP