【10月13日 AFP】2008年のノーベル医学生理学賞を受賞した仏パスツール研究所(Institut Pasteur)のフランソワーズ・バレシヌシ(Francoise Barre-Sinoussi)教授(61)は12日、地元ラジオ局に対し、「昨今の金融危機が特に貧困国の保健衛生に悪影響を与える可能性がある」との懸念を示した。

 1983年にエイズ(HIV/AIDS)ウイルスを発見したことが評価されて受賞した教授は、ラジオ・テレビ・ルクセンブルク(RTL)に対し、「現在の経済状況が世界の保健・研究部門に恐ろしい波及効果を生むかもしれない」と語った。

 また、「(同時に受賞した)同僚のリュック・モンタニエ(Luc Montagnier)氏が四半世紀以上にわたり脚光を浴びてきたのに対し、あなたはなぜ表舞台を避けてきたのか」との質問には、「わたしは有名人になるよりも、自分の仕事に集中する方が好きなの」と答えた。

「パスツール研究所で医師や研究者と一緒に仕事をするとき、(エイズ問題が最も深刻な)アフリカやアジアを訪れているときが、いちばん幸せです」

 教授は、フランスの若手研究者たちの給料が安いことがエイズ研究の妨げにもなっているとして、エイズ研究助成金の増額も訴えた。(c)AFP