植物がストレス防衛反応で、アスピリン化合物放出
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【9月25日 AFP】干ばつなどでストレスを受けたクルミの木が、大量のアスピリン化合物を放出しているのが観察された。ストレスによる自らのダメージを「癒やす」とともに、周囲の植物に警鐘を鳴らしている可能性もあるという。
発表した米コロラド(Colorado)州ボルダー(Boulder)にある米国国立大気研究センター(National Center for Atmospheric Research、NCAR)のチームによると、今回の発見によって植物の生態や大気に及ぼす影響などに関する新たな研究が加速し、また農業関係者が作物の不作を早い段階で予測するのに役立つ可能性もあるという。
チームのトーマス・カール(Thomas Karl)氏は、植物が干ばつや季節外れの気温といったストレスに対応する際、大気中に大量のアスピリン化合物を放出することが判明したと述べた。「解熱剤のアスピリンを外部から取り入れなければならない人間と異なり、植物には自らアスピリンに似た化学物質を生成する能力がある。それによってタンパク質の生成を促して生化学的な自己防御能力を高めたり、傷を和らげる」と説明した。
研究室の実験では以前から、植物がアセチルサリチル酸の化学形態であるサリチル酸メチル、つまりアスピリンを放出することは知られていたが、ストレスにさらされた植物が、実際の生態系の中でこの物質を大気中に大量に排出したのが確認されたのは今回が初めてだ。
米国国立科学財団(National Science Foundation、NSF)の大気化学部門プログラム・ディレクター、クリフ・ジェイコブズ(Cliff Jacobs)氏は「生物圏と大気圏の相互作用は、地球システムを理解する上で重要」と語る。植物が大量のアスピリン化合物を放出するという今回の予想外の発見は、すでに行われている重要な研究に並ぶものだという。
さらに興味深いことは、生態系において植物同士がコミュニケーションしていることが明確に示されたことだ。論文の共著者であるNCARのアレックス・グンサー(Alex Guenther)氏は「植物は大気を介してコミュニケーションをとる能力を持っているようだ」と語った。
今回の研究はNCARが、NSFの支援を得て行った。研究結果は19日発行の科学誌「バイオジオサイエンス(Biogeoscience)」に掲載された。
(c)AFP
発表した米コロラド(Colorado)州ボルダー(Boulder)にある米国国立大気研究センター(National Center for Atmospheric Research、NCAR)のチームによると、今回の発見によって植物の生態や大気に及ぼす影響などに関する新たな研究が加速し、また農業関係者が作物の不作を早い段階で予測するのに役立つ可能性もあるという。
チームのトーマス・カール(Thomas Karl)氏は、植物が干ばつや季節外れの気温といったストレスに対応する際、大気中に大量のアスピリン化合物を放出することが判明したと述べた。「解熱剤のアスピリンを外部から取り入れなければならない人間と異なり、植物には自らアスピリンに似た化学物質を生成する能力がある。それによってタンパク質の生成を促して生化学的な自己防御能力を高めたり、傷を和らげる」と説明した。
研究室の実験では以前から、植物がアセチルサリチル酸の化学形態であるサリチル酸メチル、つまりアスピリンを放出することは知られていたが、ストレスにさらされた植物が、実際の生態系の中でこの物質を大気中に大量に排出したのが確認されたのは今回が初めてだ。
米国国立科学財団(National Science Foundation、NSF)の大気化学部門プログラム・ディレクター、クリフ・ジェイコブズ(Cliff Jacobs)氏は「生物圏と大気圏の相互作用は、地球システムを理解する上で重要」と語る。植物が大量のアスピリン化合物を放出するという今回の予想外の発見は、すでに行われている重要な研究に並ぶものだという。
さらに興味深いことは、生態系において植物同士がコミュニケーションしていることが明確に示されたことだ。論文の共著者であるNCARのアレックス・グンサー(Alex Guenther)氏は「植物は大気を介してコミュニケーションをとる能力を持っているようだ」と語った。
今回の研究はNCARが、NSFの支援を得て行った。研究結果は19日発行の科学誌「バイオジオサイエンス(Biogeoscience)」に掲載された。
(c)AFP