【9月19日 AFP】米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)は18日、火星の各半球の様子を示す合成画像を公開した。

 マリネリス峡谷(Valles Marineris)がある半球の画像は、米国の火星探査機「バイキング(Viking)」がとらえた102の画像を合成し、透視投影して、宇宙船から見るのと同様に映し出したもの。画像は火星の地表から2500キロ上空で撮影されたもので、縮尺は1ピクセルあたり0.6キロとなる。

 画像の中心に見えるのが、マリネリス峡谷を含む峡谷系の全体像で、距離は東西2000キロ以上、深さは最大8キロに及ぶ。西に「Noctis Labyrinthus」と呼ばれる弓形の地溝を、東には混沌(こんとん)状態の地形を形成している。

 マリネリス峡谷の西側には、タルシス(Tharsis)火山群の3つの山があり(画像左の暗赤色の点)、それぞれの標高は25キロに及ぶ。

 巨大な古い河道の多くは、北中部の渓谷から始まる混沌とした地形から北に向かって延びており、また峡谷の南側は多数の衝突クレーターで覆われた非常に古い地形となっている。

 一方、衝突クレーター「スキャパレリ(Schiaparelli)」がある半球の画像は、1980年の火星北部の初夏に撮影された。

 大きな円形の部分は「アラビア(Arabia)」として知られる。アラビアの真北に位置するこの半球の北端で、クレーターが多数存在する南側の古い高地と、比較的若い北側の平原に分かれている。

 アラビアの左側は、オキシア(Oxia)と呼ばれる暗い地域で、クレーターの明るい縁から暗い筋が出ているが、これは風による浸食または堆積(たいせき)、あるいはその両方が原因とされている。

 右端の暗い部分は、大シルティス平原(Syrtis Major Planum)と呼ばれており、おそらく玄武岩質組成で、火山性の小起伏面がある盾状の地層になっている。

 右下の、ヘラス平原(Hellas)の衝突ベイスンを含む南側は、二酸化炭素の霜で白く光っている。(c)AFP