【9月9日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は8日、来月打ち上げ予定のスペースシャトル「アトランティス(Atlantis)」が、宇宙の微小隕石や軌道上の破片(MMOD)と衝突する可能性は通常のミッションの約2倍だと発表した。

 アトランティスの今回のミッションは、ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)の修理だが、ハッブルが回る軌道の高度周辺にはMMODが多数浮遊している。

 NASAのミッション管理責任者のジョン・シャノン(John Shannon)氏は記者会見で、「今回のミッションは非常に困難を伴う。国際宇宙ステーション(International Space StationISS)への通常ミッションの場合にはこのような危険はない」と明らかにした。

 シャノン氏によると、ハッブルが周回する軌道は高度563キロで、アトランティスがMMODと衝突し壊滅的被害を受ける可能性は180分の1。これに対し、高度354キロを周回するISSへのミッションの場合は、300分の1だという。

 スペースシャトルのミッションでは、衝突リスクが200分の1より高まると、NASAの最高責任者によって打ち上げが決定されるが、シャロン氏は打ち上げは許可されるとの見通しを示した。

 宇宙では過去1年、米国、中国、ロシアが打ち上げた衛星やロケットの事故、テスト、ミッション放棄などでMMODが増加し、これまでよりも危険になっている。

 なお、「アトランティス」は、ハッブルの修理ミッションを最後に引退する予定だ。NASAは後継機として、新しい有人宇宙船「オリオン(Orion)」の2014年打ち上げを計画している。オリオンは、ISSへの補給など「アトランティス」のミッションを引き継ぐほか、月面上陸などの宇宙ミッションも行う予定となっている。(c)AFP