【9月2日 AFP】アジアゾウには足し算の能力が備わっていることが、東大(University of Tokyo)大学院博士課程の入江尚子(Naoko Irie)さんの研究で明らかになった。

 入江さんが1日にAFPに語ったところによると、数か月にわたり2頭のゾウを対象に行ったいくつかの実験で、1ケタの足し算の結果の大小判断は、1頭が87%、もう1頭が69%と、高い割合で正答したという。

 ある実験では2つのバケツを用意し、バケツの中身が直接見えない場所にゾウを立たせ、まずリンゴやミカンなどの好物を片方のバケツに3個、もう片方のバケツに5個入れるところを見せ、次に2個ずつ追加するところを見せて、どちらを選ぶかを見た。

 すると、東京・上野動物園(Ueno Zoo)の30歳のメス「アーシャ」も、京都市動物園の38歳のメス「美都」も、数が多い方、つまり7個入っているバケツを選んだ回数は、6回中5回と高い確率にのぼった。

 5個入れたあとに1個を足したバケツと、3個入れたあとに4個を足したバケツのいずれかを選ばせる実験、つまり和の差を小さくした実験でも、アーシャの正答率は6回中5回、美都の正答率は6回中4回と高かった。

 入江さんは、ゾウが5個や6個といった数を瞬時に比較できるという高い数量認知能力を持つことが、最初は信じられなかったと話す。

 2つの数量のうち大きい方を選択する能力は、多くの動物に備わっているが、数が大きくなったり差が小さくなると通常は成績が落ちる。しかし2頭のゾウは、数が大きくても、差が小さくても、成績が落ちなかった。(c)AFP