【8月22日 AFP】2007年2月に南極海で捕獲された重さ495キロのダイオウホウズキイカ(Mesonychoteuthis hamiltoni、別名コロッサル・スキッド、colossal squid)。これまで発見された中では世界最大とされ専門家らを驚かせたこのイカだが、新たな研究によると、実際はどうやら「海のT-REX(大型肉食恐竜ティラノサウルス・レックス)」ではなく、「動きの鈍い肥満体」であった可能性が出てきた。研究チームを率いる海洋生物学者のSteve O'Shea氏が21日、AFPに語った。

 O'Shea氏は、ニュージーランドの国立博物館に寄贈されたこのダイオウホウズキイカについて、太りすぎの繁殖マシーンだと指摘する。

 同氏は「巨大イカは攻撃的で危険だと言われており、昔から恐怖の対象とされ正しい姿が伝えられてこなかった」とした上で、「研究の結果、凶暴どころか、成長するにつれおとなしくなっていくのではないかと考えられる。予想外の奇妙な現象だ」と語った。

 同氏によると、現在、われわれが目にしている姿は変形前の姿だという。このイカは、成長すると体長は縮まる一方で体の幅が広くなり、数千個の卵を抱えるゼラチン質のブヨブヨした塊に変形するという。この形状がイカの行動や捕食能力に影響を与えるとみられている。

 O'Shea氏は「このイカがすごいスピードで海中を泳ぎ回るなんて想像できない。ファイティングマシーンになるにはブヨブヨしすぎだ。恐らく卵を抱えて海底でごろごろしているんだろう、死んだ魚とか食べながら」と語った。(c)AFP/Margot Staunton