【8月14日 AFP】絶滅した古代の巨大ネコ「サーベルタイガー」の近縁種で、やはり絶滅したことが知られる「シミターキャット(scimitar cat)」の化石が南米で初めて、ベネズエラの首都カラカス(Caracas)南東で油田探査中に発見されていたことが明らかになった。同国の古生物学者チームが11日、発表した。

 ベネズエラ科学研究院(IVIC)の古生物学者、アスカニオ・リンコン(Ascanio Rincon)氏は、「南米における過去60年間で最も重要な発見」と評している。

 発見されていたのは、「ホモテリウム(Homotherium)」とも呼ばれるシミターキャット6頭の化石。ベネズエラ国営石油公社( Petroleos de Venezuela)が2006年、モナガス(Monagas)州で石油探査を行っていた際に発見された。ともにヒョウやオオカミ、ラクダ、コンドル、アヒル、馬などの化石も出土し、すべて約1800万年前のものだと推定された。

 リンコン氏によると、シミターキャットの化石のうち1頭の頭蓋(ずがい)骨が完全に残っていたことが、最重要の発見だったという。

 シミターキャットはサーベルタイガーの小型版として知られる。外見はハイエナに似ていたとされ、ギザギザの鋭い歯を持っていた。これまで南米で化石が発見されたことはなく、500万年前から1万年前にアフリカ、ユーラシア、北米のみに生息していたと考えられていた。サーベルタイガーの化石はすでに南北両米大陸で発見されているが、今回の発見で、シミターキャットとサーベルタイガーの生息域がほぼ同じだったことも証明されたという。

 リンコン氏は、シミターキャットは約50万年前に南米で絶滅したと推測する。化石に基づき今後はシミターキャットの生態について研究が進められる。(c)AFP