【8月8日 AFP】通常は浅瀬に生息するウミガメたちは、時として海中深く潜水する。海面から1000メートルも潜るカメもいるというが、この理由はこれまで不明のままだった。

 この謎の解明に、英スウォンジー大学(University of Swansea)のジョナサン・ホートン(Jonathan Houghton)教授らの調査チームが挑戦し、その結果が8日、英科学誌『The Journal of Experimental Biology』に掲載された。

 調査チームは、オサガメ13匹に、居場所、温度や潜った深さや時間などを記録するデータロガーを取り付け、衛星による追跡調査を行ったところ、13匹は大西洋全域で合計2万6000回潜水したが、300メートルよりも深く潜ったのは、1%にも満たない95回だった。

 もちろん敵の魚類から逃れるために深く潜ることも考えられるが、収集データでは、カメたちが慌てて潜水した形跡はなく、緊急事態によるものではないようだ。

 このほか、カメたちは深く潜水する前に、海面近くで数時間過ごしていることが分かったが、これは酸素効率を高めるためだとみられる。

 ホートン教授も「(潜水前に)長時間、海面に浮くことは自らの影を敵にさらす危険があり、敵から逃げる手段とは考えにくい」という。

 調査チームは、潜水の理由は「食べ物」にあるのではないかと考えた。

 オサガメは海面近くを漂うクラゲを食用としているが、カリブ海から数か月をかけて低温海域に移動する間は、深度600メートルに集団で生息するクラゲに似た生物を食べている。

 ホートン教授は、移動中のカメたちは、日中はこのクラゲに似た生物の集団の居場所を探して海中深く潜り、夜間に海面近くに上がってきたこの生物を食べているのではないかと考える。

 オサガメが、深く潜水した後、数日間から数週間、同じ海域に留まっているのも、こうしたことが理由ではないかという。(c)AFP