【8月8日 AFP】人類以外で少なくとも1つの種のメスが、セクハラ(性的嫌がらせ)を避けるため、身を危険にさらそうともオスから離れることが、英国王立協会(British Royal Society)の生物学誌「Biology Letters」に掲載された研究結果で明らかとなった。

 ウェールズ(Wales)のバンガー大学(Bangor University)のチームによる実験で、トリニダード・トバゴのトバゴ島に生息するグッピーのメスは、しつこく交尾を求めてくる「不快な」オスといるよりも、捕食者に食べられる危険を冒すことを選ぶことが判明した。

 「しつこく言い寄る」オスからメスが離れるのは、多数の種で長期にわたり観察されてきたが、その理由についてはさまざまな意見があった。複数の研究で、メスは大きさや色などの理由で「アタック」を受けやすい状況になった場合、最高級のごちそうをオスの元に置いてその場を離れることが判明していた。また、一部の種では、オスとメスは餌が異なるために別行動をするとの説もある。

 これに対し、グッピーの場合、セクハラが理由でメスがオスから離れる可能性があるという。研究チームによると、自然界では異性間闘争の結果として、メスがオスから嫌がらせを受けること多く、メスにとっては命を落とす危険性もある。

 仮説を立証するため、研究チームはトバゴ島の川に生息する大きいメス120匹、小さいメス60匹、オス60匹の計240匹のグッピーを用い、4つの区域を作って捕食される危険度を変えて実験を行うと、明白な結果が出た。

 研究結果によると、オスがいる場合、メスはオスはあまりいないが捕食される危険の高い場所を積極的に選んだ。つまり、危険は高まるが、セクハラが少なくなる方を選んだことになる。オスを取り去ると、メスは元の場所に戻った。

 今回の実験によって、メスが危険を冒してもオスから逃げるのは、オスの「情熱」が原因の場合もあることが初めて示された。(c)AFP