【7月29日 AFP】(一部更新)世界最深のロシアのバイカル(Baikal)湖で、淡水域での潜水深度新記録を目指していたロシアの潜水艇が29日、湖底に達し世界記録を塗り替えた。

 バイカル湖畔の小さな港Turkaから潜水したのは、ロシアの深海潜水艇「ミール1(Mir-1)」と「ミール2(Mir-2)」。国営タス通信(ITAR-TASS)は湖畔から「ミール2が水深1680メートルのバイカル湖底に到達した」と報じた。国営テレビVesti 24も、淡水域での新記録だと報じている。

 この科学探査は、07年8月に北極点下の海底にロシア国旗を立てた潜水艇チームを率いた探険家で親与党議員のアルトゥール・チリンガロフ (Artur Chilingarov)氏が組織した。

 乗り込んだ科学者チームは異なる深さでさまざまな試料を集め、シベリアのバイカル湖における地球温暖化の影響を分析する計画で、環境保護のさらなる必要性に対する政府の関心を高めたいとしている。

 チリンガロフ議員は29日の潜水前、「バイカル湖を研究、観察し、保存したい」と述べた。同じく参加した科学者アナトリー・サガレビッチ(Anatoly Sagalevich)氏は、今回の探査によって、これまで発見されていなかったバイカル湖底の生物が見つかる可能性や、湖の地下にガスや油田が確認される可能性もあると期待を示した。

 今回の探査には政治的側面もある。チリンガロフ議員は「ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)の全面的な支援を得た」といい、はしけには与党・統一ロシア(United Russia)の党旗が掲げられた。

 バイカル湖は深度世界一の湖で、淡水湖としては面積では他に譲るが容積では世界一。しかしこの「聖域」にも、環境汚染の脅威が迫っていると環境団体らは警告している。(c)AFP