【7月28日 AFP】その起源は9600万年前にまでさかのぼり、現在も西アフリカの沼地などに生息する魚「ポリプテルス・セネガルス(Polypterus senegalus)」が、未来の兵士が着用する軽量で爆風にも強い防弾チョッキのモデルになる可能性が出てきた。米国防省の支援を受け「恐竜ウナギ」や「セネガル・ビッチャー」の名前でも知られるこの魚のウロコを研究する科学者らが、27日付けの専門誌「Nature Materials」誌上で明らかにした。

 体長40センチのポリプテルス・セネガルスがもつ多層構造のウロコは、攻撃された場合、衝撃を分散させ、ウロコの下の軟らかい細胞組織への貫通を防ぎ、あらゆる損傷を攻撃を受けたウロコ周辺部分だけにとどめる役割があるという。

 マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of TechnologyMIT)の研究者らは、生きたポリプテルス・セネガルスから傷をつけずに採取したウロコをナノレベルで測定、観察した。すると、厚さ約5億分の1メートルのウロコは4層構造をもつことが明らかになった。研究者らはこのウロコに対し、かみつかれているのと同じような効果をもつ模擬実験を行った。

 その結果、このうろこは、さまざまな複合材料でできていることやその形状、厚さにより、防御能力が非常に際だっていることが明らかになった。(c)AFP