【7月24日 AFP】恐竜の種が多様化したのは絶滅直前だったとする定説は幻想で、絶滅の数百万年前に大規模な進化をとげたとする研究結果が、23日の「英国王立協会紀要(生命科学版、Proceedings of the Royal Society B)」に発表された。

 約6500万年前の白亜紀末に起きた恐竜の絶滅は解明されていない点が多いが、地球の支配者として進化の絶頂に達した際、恐らくいん石が地球に衝突したとされる壊滅的な出来事で、長期にわたる支配に幕を閉じたというギリシャ悲劇を思わせるような説が一般的となっている。

 この定説は、約8000万-1億2500万年前の「Cretaceous Terrestrial Revolution(白亜紀の陸生革命)」と呼ばれる時代の恐竜の化石が多数発見されたことから、科学的に裏付けられたとされている。この時代に地球の生命の書は永遠に書き換えられた。

 この時期には生物の多様化が爆発的に起こり、植物や社会性昆虫、チョウ、現在のは虫類やほ乳類が繁栄し、恐らく鳥類も出現したと考えられているが、ハドロサウルスやセラトプシアン、パキケファロサウルスなどの変わった化石も多数発見されていることから、恐竜もその際に多様化したとする専門家もいる。

 しかし、今回の研究結果では、恐竜の多様化はこのようなDNAの進化ショーの前座などではなかったことが判明したという。

 英ブリストル大学(University of Bristol)のGraeme Lloyd氏率いる研究チームは、恐竜の進化の「超系統樹」を活用し、これまでに知られている種の70%にあたる450種以上の進化状況を分析した。

 この結果、恐竜の大規模な進化は、約2億-2億2500億年前の三畳紀後期に起きたと研究チームはまとめている。これは、恐竜が初めて出現してから1500-4000万年後となる。

 また、約1億6000万-1億7000万年前のジュラ紀中期に2度目の多様化が起きたが、比較的小規模で、この時期までに、白亜紀の陸生革命時に生存していたすべての主要な恐竜の系統が確立された。

 研究結果は「(白亜紀の陸生革命が)現在の大陸の生態系の出現において重要な役割を果たしているが、恐竜はその一部ではなかったことが新たに確認された」としている。また、この時期の恐竜の化石が多数発見されている、いわゆる「サンプル・バイアス」が、誤った定説を導き出した可能性があると指摘している。

 恐竜絶滅の定説では、巨大な隕石(いんせき)か彗星(すいせい)が、現在のメキシコ・ユカタン(Yucatan)半島に衝突して炎の嵐が起こり、舞い上がった粉じんが雲となって太陽の光を遮ったため、気候変動を引き起こし、植物が打撃を受け、その結果、ほ乳類などの比較的小さな生物が新しい気候や手に入る食糧に適応し、地球を引き継いだとされている。(c)AFP