【6月12日 AFP】世界の大陸は数百万年前に1つの超大陸から分離してできたとされているが、分離の過程をめぐるこれまでの通説が、オーストラリアで発見されたわずか19センチの恐竜の骨によって覆された。10日に「英国王立協会紀要(生命科学版、Proceedings of the Royal Society B)」で発表された研究で明らかになった。

 オーストラリア南東部ビクトリア(Victoria)州Cape Otway近郊で発見されたこの骨は、約9000万年前に南米一帯で権勢を振るっていた肉食恐竜メガラプトル(Megaraptor)に非常に近い種のものだったという。

 この2つの種に見られる驚くべき類似性は、現在の南半球にある大陸は超大陸ゴンドワナ(Gondwana)から分離したとされる説の信ぴょう性を高めることになった。

 ゴンドワナは白亜紀に、南米やアフリカ、南極、オーストラリアの各大陸に分離したとされている。

 通説では、およそ1億2000年前にゴンドワナから南米大陸とアフリカ大陸が最初に分離したとされる。その時点ではオーストラリア大陸は南極大陸の一部であり、この2つの大陸はおよそ8000万年前に分離したという。その後、オーストラリアは孤立した存在となり、現在でも見られるような独特の動植物をはぐくむことになった。

 今回発見された恐竜の前足の骨は、オーストラリアで発見された2足歩行の非鳥類型獣脚類恐竜と、ゴンドワナから分離した別の大陸で発見された同種の恐竜との関連性を示す初めてのものだという。

 米シカゴ大学(University of Chicago)のネイサン・スミス(Nathan Smith)氏率いる研究者チームは、この2つの恐竜は大きな類似性を持っていることから、南米大陸とオーストラリア大陸が分離した時期は数百年前以前であるはずはないとの見方を示す。分離した時期が数百万年前以前であったとすれば、環境の変化に適応していく過程で、恐竜は別々の進化を果たしたはずだという。
 
 研究者チームは「少なくとも(およそ4000万年前に始まる)始新世後期まで」南米大陸南部と南極大陸西部の群島をつなぐランドブリッジが存在していたと推測している。(c)AFP