【5月29日 AFP】サルの脳に電極をとりつけ思考するだけでロボットアームを操作させることに成功した米ピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)の研究チームの実験結果が28日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 研究チームは、サルの腕を動かせないように固定し、脳にロボットアーム操作用の電極針を取り付けたところ、このサルは数日間で、肩に取り付けられたロボットアームを操作し、アームの先端で食べ物をつかみ口元に運ぶ動作を習得したという。

 研究を主導したアンドリュー・シュワルツ(Andrew Schwartz)ピッツバーグ大教授によると、ロボットアームの操作は脳の制御のみによって行われたという。

 中枢神経系学を専門とするカナダ・モントリオール大学(University of Montreal)のジョン・カラスカ(John Kalaska)氏は、脳の働きのみで人工アームを操作するいわゆる「ブレーン・マシン・インターフェース(BMI)」による三次元動作(今回の実験の場合は食べ物を口元に運ぶ動作)の実証結果が発表されたのは、今回が初めての事例だと指摘する。

 ピッツバーグ大の実験結果を人間にも応用できれば、脳とロボットアームを直接つなぐことで、神経系の損傷で四肢などが不自由な人々にも応用が可能になるとの期待が高まっている。

 こうした期待をうけ、シュワルツ教授らの研究チームはロボットアームをさらに改良すべく研究を進めている。(c)AFP/Marlowe Hood