【5月26日 AFP】(一部更新、写真追加)米航空宇宙局(NASA)は25日、火星探査機フェニックス・マーズ・ランダー(Phoenix Mars Lander)が火星の北極付近への着陸に成功したと発表した。

 時速2万400キロで飛行していたフェニックスは、パラシュートと制御ロケットで速度を落とし、危険度の高い7分間の降下を行い、3本の脚で無事着陸したという。着陸地点は比較的岩などの少ない「ボレアレス平原(Vastitas Borealis)」で、地球上でいうとカナダ北部と同じ緯度に位置する。

 ロシアが1960年に初めての火星探査機を打ち上げて以来、火星探査計画の失敗率は約50%に達しており、フェニックスの担当チームは成功確率の低さを懸念していた。

■氷の有無を直接確認へ

 フェニックスは、火星で生物の痕跡について調査を行う。科学者たちは、火星の北極地域に地球と同様に季節の変化があると仮定しており、有機物や生命の存在に必要なミネラルなどを含む水分に富んだ土壌に変化する季節があるかどうかを調べる。

 フェニックス計画の主任調査官をつとめる米アリゾナ大学(University of Arizona)のピーター・スミス(Peter Smith)博士は、「惑星の北極地域は気候変動の影響を非常に大きく受ける。そこには生命の痕跡が残っているものだ」と指摘。隕石などの分析結果から、火星には「有機物が過去少なくとも1度は存在したはずだと考えている」と述べた。

 フェニックスはカメラ1台、1メートルの深さまで掘削可能な長さ2.35メートルのロボットアームを装備、地下の氷を直接探す。また、生命の重要要素とされる炭素・水素分子を検出するために、収集したサンプルを加熱することもできる。火星の大気を分析する気象観測用装置も装備している。(c)AFP/Jean-Louis Santini