【5月15日 AFP】天の川銀河系で最も新しい超新星が発見されたことが14日に発表された論文で明らかになり、星の爆発や銀河系のなりたちの解明がさらに進むのではないかと期待されている。

 射手座で発見され「G1.9+0.3」と名付けられた超新星は、140年前頃に発生したとみられる。銀河系の中心部付近で起こった発生当初の目もくらむような爆発は、厚いガスやチリの層で遮られていたため、電波顕微鏡やX線望遠鏡を使った観測で初めて発見された。

 発見された超新星は、1680年頃に超新星爆発を起こし、銀河系では最も新しいと思われていた「カシオペアA(Cassiopeia ACas A)」よりも200年ほど若い。年数の特定は、その星がどれだけの膨張速度を維持しているかで判断される。膨張速度が速いほど爆発から経過した時間が短い。

 研究の指揮をとった米ノースカロライナ州立大学(North Carolina State University)の天体物理学者ステファン・レイノルズ(Stephen Reynolds)氏によれば、この超新星は20年以上前に宇宙飛行士が最初に発見し、爆発はその400-1000年前に起こったと考えられていた。

 同氏は、2007年に米航空宇宙局(NASA)のチャンドラX線観測衛星(Chandra X-ray Observatory)から送られてきた映像と1985年に同局の電波望遠鏡Very Large ArrayVLA)がとらえた映像を比較してみたところ、発生がより最近起こったことは明らか、と述べた。

 同氏によれば、2つの映像が撮影される間の22年間に超新星爆発の残がいは16パーセント膨張しており、これまでの予想より若い星であることが分かる。2008年始めに行われたVLAによる観測では、この超新星の残がいの「年齢」が少なくとも140年、膨張速度が落ちているようであればさらに最近であることが確認され、銀河系で最も新しい超新星と確認された。

 爆発の発生が銀河系の中央部でなく、またガスやチリの層で遮られていなければ、1870-1900年の間に射手座での爆発が見られ新星と認められていただろう、と同氏は話す。「光学望遠鏡を使えば、宇宙の遠く離れた場所で起こる超新星爆発も見ることができるが、視界を遮られてしまうと地球の『裏庭』でも見逃してしまう。幸い、膨張するガスの固まりは電波やX線を使えば数千年の間観測できる。電波やX線を使えば視界をクリアにすることができ、見逃してきたものが見えてくる。」

 この研究は、1月10日のThe Astrophysical Journal Lettersで発表された。(c)AFP/Jean-Louis Santini