【5月14日 AFP】中国南西部を襲った四川(Sichuan)省を震源とするマグニチュード7.8の大地震は、チベット高原(Tibetan Plateau)下にあるプレート(岩板)が北東方向にずれたことが原因との見方を、フランスの地震学者らが示した。

 パリ地球物理研究所(Paris Institute of Earth Physics)のポール・タポニエ-ル(Paul Tapponnier)氏は、四川省は地震の多発地帯で、今後も多くの余震が発生するだろうと警告する。

 チベット高原の東縁にある山岳地帯は、5000万年前にインド側のプレートがユーラシアプレートにぶつかり地表が押し上げられたもので、ヒマラヤ山脈や世界最高峰エベレスト(Mount Everest、チョモランマ)もこの衝突で出来たものだ。これらの山々は、地殻変動の影響で今も上昇を続けているという。

 中国南部と四川盆地にまたがるチベットは、常に東方向に押され続けていると、タポニエ-ル氏は説明する。

 また、チベット高原の端にある竜門山(Longmenshan)断層が引き起こしたとみられる今回の地震は、地質学的に非常に複雑な仕組みによるものだと地球物理研究所で構造地質局主任のロビン・ラカシン(Robin Laccassin)氏は述べる。

「この地域には、数多くの大型断層線が存在する。このうち、かなり昔の断層のいくつかが内部破壊し、今回の地震を引き起こしたのだろう」(ラカシン氏)

 20世紀に入ってからチベット高原で発生した大規模な地震としては、1920年に甘粛(Gansu)省で23万人の犠牲者を出した地震がある。また、1970年に雲南(Yunnan)省で発生した地震では1万5000人が死亡している。(c)AFP