「弾道降下」のソユーズ飛行士ら、順調な回復ぶりをアピール
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【4月22日 AFP】韓国初の宇宙飛行士となったイ・ソヨン(Yi So-Yeon)さんらロシアの宇宙船ソユーズ(Soyuz)乗組員3人は21日、激しい負荷のかかる「弾道降下」による地球帰還後、健康状態は順調に回復していると述べた。
国際宇宙ステーション(International Space Station、ISS)で9日間の任務を終えたソユーズは19日、通常の着陸体勢とは異なり、乗組員に大きな重力負荷のかかる「弾道降下」状態で地球に帰還した。しかし、モスクワ(Moscow)郊外のスターシティー(Star City)にある訓練センターで開かれた記者会見で、乗組員らは離着陸のどちらにも不安は一切なかったと語った。
■韓国初の飛行士イさん「不安一切なかった」
イさんは「宇宙飛行士全員が助けてくれ、本当に安全で快適だった」と強調した。大気圏突入の際に外部に炎のようなものが見えたが温度は感じず、ソユーズはそうした摩擦熱も想定して設計されているので不安はなかったと述べた。また、自分が宇宙へ行ったことで「韓国の宇宙計画に弾みがつき、朝鮮半島の統一につながれば」との希望を語った。
ロシアの宇宙当局は21日、ソユーズがなぜ通常の降下パターンから逸脱したのかについて調査を開始した。ここ数年で同様の事態が2度起きている。
同じく会見に出席した米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士でISS初の女性コマンダー、ペギー・ウィットソン(Peggy Whitson)さんは、会場への出入りの際に支えを必要としたが、これは6か月間宇宙に滞在していたためだと語った。ISSでの任務は今回2回目。「降下によって特別の影響があったかどうかは分からない。毎日どんどん回復している。筋力は少し弱っている気がする。前回の着陸後はとても力強く感じたが、(今回も)回復できると確信している」と述べた。ウィットソンさんは米国人宇宙飛行士で最長の計377日を宇宙で過ごしている。
■通常ルート逸脱、カザフスタンの草原に着陸
ロシア人宇宙飛行士のユーリ・マレンチェンコ(Yury Malenchenko)さんは、ソユーズが着陸予定地点からから400キロ以上離れたカザフスタンの草原に着陸した際、飛行士らは自力でカプセルから出ることができたと述べた。集まってきた地元の長や住民らはとても驚いていたという。「『それはボートか』と尋ねる人もいた。宇宙から来たというと、理解できない様子だった」
3人はスターシティーで療養と報告聴取を終えた後、それぞれ帰国する。
同訓練センターのワレリー・コルズン(Valery Korzun)副センター長は、ソユーズが通常と異なる着陸をしたことに関する初期調査によると、乗組員は状況に応じた対応をしており責任はないと述べた。「大気圏突入の際、宇宙船は自動的にコントロールされた降下から弾道着陸に切り替えられた。原因は現在調査中で、結果によっては訓練方法の変更や装備の改善もありうる」と述べた。(c)AFP/Nick Coleman