【AFP】(写真追加)ブラックホールの名付け親として知られ、原子爆弾を開発した「マンハッタン計画(Manhattan Project)」に加わった米物理学者ジョン・アーチボルト・ウィーラー(John Archibald Wheeler)氏が13日、米ニュージャージー州(New Jersey)ハイツタウン(Hightstown)の自宅で肺炎により死去した。96歳だった。遺族が明らかにした。

 ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領は14日、「米国で最も偉大な物理学者の1人を失い、悲しみに暮れている」との声明をローラ夫人と共に発表した。声明は「その輝かしいキャリアにおいてウィーラー氏は、アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)やニールス・ボーア(Niels Bohr)と共に、歴史を変える研究に携わった」と続いている。

 ウィーラー氏は1911年7月9日、フロリダ州(Florida)ジャクソンビル(Jacksonville)に生まれた。第二次世界大戦時には、世界初の原子爆弾を製造したいわゆるマンハッタン計画に参加。アインシュタインの死後、やり残された「統一理論」の完成に力を注いだがかなわなかった。

 1950年代には、中性子星の中心における高密度核物質の発生を説明する「ハリソン・ウィーラー方程式(Harrison-Wheeler equation)」を発表。その後、星が崩壊した後にそうした超高密度状態となり、光を閉じこめる現象を「ブラックホール」と名付けた。
 
「ブラックホール」命名のきっかけは1967年、ニューヨーク(New York)で行われたこの未知の現象に関する会議の際、 1人の学生が「ブラックホール」と叫んだことにウィーラー氏が着想を得て命名した。(c)AFP