【4月4日 AFP】人間の体内にある分子を1000倍に拡大して画像化できる新技術を開発したことを、米国の研究チームが3月31日発表した。微小な腫瘍(しゅよう)の発見に役立つことが期待されている。

 これは「ラマン分光法」という組織や体を傷つけないこの分子画像化システムを用いた技術で、物質にレーザのような単色光を照射し、散乱される光を分光器に通して観測すると、その物質特有のスペクトルが得られ、物質の分子の構成物や構造が特定できる。

 米スタンフォード大学医学部(Stanford University School of Medicine)のSanjiv Sam Gambhir氏率いる研究チームによると、この手法が人体内部の画像を得るために用いられるのは初めてのはずだという。

 Gambhir氏は「通常1度に観測できるのは1つか2つの分子だけだが、このシステムでは10、20、30の分子を同時に観測できるようだ」としている。さらに、このシグナルによって、分子が体内のどこにあるかも特定できるという。

 この技術によって得られる画像は非常に繊細で、微小ながん組織の発見にも役立つため、その除去手術への活用も期待できるという。マウスを使った最初の試験はすでに実施され、次は人間での臨床試験が計画されている。(c)AFP