【3月30日 AFP】人類で初めて宇宙を飛んだ旧ソ連の宇宙飛行士、ユーリ・ガガーリン(Yury Gagarin)が亡くなった航空機事故について、ロシア日刊紙コムソモリスカヤ・プラウダ(Komsomolskaya Pravda)が27日、事故原因は平凡な技術的ミスとする新説を掲載した。事故を調査した人物の話を元にしている。この日、ガガーリンが事故死してから、ちょうど40年目を迎えた。

 ガガーリンは1961年4月12日、宇宙船ボストーク1号(Vostok 1)で人類初の宇宙飛行を成し遂げた。宇宙から帰還後、旧ソ連の英雄となったが、宇宙飛行から7年後の68年3月27日、搭乗していたミグ15(MiG-15UTI)戦闘機がモスクワ東部で事故を起こし、34歳の若さで帰らぬ人となった。

 戦闘機にはガガーリンのほか、パイロットがもう1人乗っていた。事故の原因ははっきり分かっておらず、事故の調査報告も公開されなかったため、これまでに「レオニード・ブレジネフ(Leonid Brezhnev)書記長の放った刺客に殺された」といった陰謀説や、「宇宙空間を侵略したため宇宙人に報復された」という話まで飛び交っていた。

 事故の調査にかかわった元航空技術者のイゴール・クズネツォフ(Igor Kuznetsov)さんはコムソモリスカヤ・プラウダに対し、戦闘機の操縦室が密閉されていなかったため、2人は緊急着陸を迫られる状況になったと指摘。高度約4000メートルから2000メートルまで急降下したため、2人が意識を失い、事故につながったという。

 ガガーリンの事故についてロシア政府は2005年、技術者やジャーナリストによる事故調査報告書の開示要求を却下しており、真相は不明。事故40年を迎えた27日、事故機を保管する研究機関はインタファクス(Interfax)通信に、新たな事故調査の必要はないと伝えた。(c)AFP