【3月16日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は14日、これまでで最も解像度の高い土星の衛星エンケラドス(Enceladus、直径約505キロ)の北極域の画像を公開した。この画像は土星周回探査機カッシーニ(Cassini)の狭角カメラが12日、エンケラドスの北極域上空約3万2000キロメートル地点から南向きに可視光線を用いて撮影したもの。

 カッシーニは今年3月、エンケラドスの南極域で起こっているプルーム活動の調査のためフライバイを行ったが、その際、軌道の関係で、北極域付近での内部活動のより古い兆候を撮影することにも成功した。

 北極域は南極域に比べて古く、クレーターに覆われている。これらのクレーターは、地殻変動活動と恐らく過去に発生した地中からの熱による分裂や変形のさまざまな段階を示している。画像内のクレーターの大部分には平行亀裂が見受けられるが、この亀裂はエンケラドスの北半球全体でみられるようだ。

 この画像にはまた、衝突でできたとみられる多様なクレーターの形も写っている。このことからこの部分の氷地殻は以前より低温になっていると予測される。

 過去に得られたNASAの惑星探査機ボイジャー(Voyager)の映像からも同様の結論が引き出されているが、今回の調査で地表の亀裂のさらに詳細な画像を得ることができた。今回のカッシーニのデータにより、エンケラドスの南極域と北極域の地史の解明が大きく前進するとみられている。

 写真の明るい部分が土星に面している。撮影当時の太陽、エンケラドス、カッシーニの角度は115度、画像の解像度は1ピクセル当たり176メートル。(c)AFP